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株式会社P2M
(広島県広島市)

越智さん、新谷さん、赤木さん
株式会社P2Mは、2019年(令和元年)9月設立。不動産や施設などの管理事業や保険代理店事業などを行っている。
従業員数は18名(2025年10月時点)。
なお、株式会社P2Mの職場のメンタルヘルス対策およびストレスチェックの実施は、グループ全体の活動の中で行われており、主に株式会社プローバホールディングスが担っている。プローバグループ全体では、社員数311名、パートスタッフ813名(2024年6月)。
今回は、株式会社P2Mの執行役員の越智由臣さん、株式会社プローバホールディングスの人事部係長(健康経営)の新谷浩二さんと、財務部係長(安全衛生委員会委員)の赤木祐貴さんからお話を伺った。
小規模の分散型事業場という中で、グループ会社合同の安全衛生委員会を開催し情報共有するなど工夫することで、安全意識と健康施策を全社に展開し、健康経営を進めている。
最初に、健康経営に取り組んだきっかけと安全衛生委員会の取組みについてお話を伺った。
(P2M社)
「当社は、不動産事業、施設管理事業、保険代理店事業の3つの事業ごとに事務所も分かれています。50歳以上の従業員が半数近くおり、長年、プローバグループで働いてきた人がほとんどですので、同じ企業風土で育ってきました。2019年の組織改編で分社化されましたが、今も、P2M社単体の従業員としてではなく、プローバグループの従業員という感覚を、私も含め、皆持っています。そのため、健康経営や、安全衛生委員会、メンタルヘルス対策に関しては、プローバグループ全体の動きの中で、当社も取り組んでいます。」
小規模の分散型事業場という中で、すべての従業員が心身共に健康でいきいきと働ける環境を作りたいと考え、グループ全体で健康経営に取り組み始めました
(プローバホールディングス社)
「当グループのうち従業員数50人以上の事業場は、株式会社プローバホールディングスのみです。他の事業場は小規模店舗や事業会社で、パートスタッフを含めても50人未満ですので、産業医の選任義務やストレスチェックの実施義務などはありません。ただ、どの店舗、どの業種で働いていても、社員でもパートスタッフでも、当グループで働くすべての従業員が心身ともに健康で、いきいきと誇りをもって働ける職場環境を作ることが大切だと考えていましたので、様々な健康施策は積極的に実施してきました。ある日“健康経営優良法人認定制度”のことを知り、毎年取得していくことで社会的にも認めてもらえるのではないかと考え、プローバグループ全体で、メンタルヘルス対策を含む健康経営に積極的に取り組むことにしました。2022年1月に健康経営宣言を行い、従業員全体にも周知しました。」
衛生推進担当者の集まり
グループ会社合同で安全衛生委員会を開催することによって、様々な取組事例や情報を共有し、それぞれの職場に伝える流れができている
(プローバホールディングス社)
「株式会社プローバホールディングスでは以前から毎月衛生委員会を開催していますが、3年前からは、グループ会社合同で、安全衛生委員会を2ヶ月に1回ほどのペースで開催しています。各社から必ず1人以上は出席していて、グループ会社それぞれの従業員の健康状況について話を聞くことで、グループ会社全体の健康施策を進める場になっています。また、各店舗に1人は衛生推進者を配置することにしているので、衛生推進者の養成も行っています。」
「また、安全面の取組みの共有にも力を入れています。グループ会社それぞれで起きた事例や取組み、ヒヤリ・ハットから予防につなげた事例などを安全衛生委員会の中で共有することで、他店舗や事業会社でも横展開で実践できるようにしています。」
(P2M社)
「当社は、施設管理のための高所作業もありますので、安全面での対策が必要不可欠です。安全衛生委員会には、衛生推進者でもある私(越智さん)が、出席しています。グループ会社全体の安全と健康の施策を知ったうえで、P2M社内で月1回行われる全体会議の中で、周知・報告しています。そこで、従業員と意見を交わし、経営者同士でも共有・検討し、まとめた内容を、必要に応じて、次回のグループ会社全体の安全衛生委員会で報告する流れになっています。3つの事業それぞれで、業務内容や職場環境、想いも異なりますので、それぞれの立場での感覚を大切にして、従業員それぞれが取り組みやすいように、声を聞くことを大切にしています。また、安全衛生委員会からの情報・伝達を早く行わなければならない場合は、SNSグループで、先に一斉に周知しています。」
産業医が、日頃の面談やストレスチェックの集団分析結果の説明、高ストレス者への面接指導などを積極的に行っており、早期対応につながっている。
次に、産業医の関わりやストレスチェックの実施状況などについてお話を伺った。
産業医面談が効果的に機能しているため、問題が深刻化する前に介入できており、早期の改善を試みることができている
(プローバホールディングス社)
「産業医は、株式会社プローバホールディングスとして契約し、グループ会社の従業員なら誰でも相談できる環境にしています。産業医は、以前は地域で独立して活動している医師にお願いしていたのですが、ご高齢になられたため、5年ほど前からは、健康診断機関に、一般定期健康診断の実施と合わせて産業医の契約もお願いしています。」
「産業医面談は日頃から対面やオンラインで実施しています。相談者の話をじっくり聴いてくれると従業員にも好評のようです。気軽に相談できる環境ができているので、予防の段階から関わることもでき、問題が深刻化する前に介入して早期の改善を試みる契機にもなっています。相談者の状況次第では、地域の精神科クリニックにつなげることもあります。また、会社としての調整が必要あれば、相談者本人の同意を得た上で、社内の“両立支援コーディネーター”が調整役として入ることもあります。“両立支援コーディネーター”は、産業医からのフィードバックを受けた上で、直属の上司に伝え、支援や業務調整を求めるといった対応をしています。当グループにおける“両立支援コーディネーター”は、労働者健康安全機構の研修を受けた私たち(新谷さん、赤木さん)を含む社員5名が担当しています。」
(P2M社)
「小さな会社では、ゼロからこのような産業保健体制をつくるのは難しいので、産業医および“両立支援コーディネーター”と連携して、従業員支援ができることはありがたいです。当社でもこの仕組みを活用することができて、助かっています。」
毎年、産業医がストレスチェック集団分析結果を説明した上で、各職場での環境改善につなげています
(プローバホールディングス社)
「ストレスチェックの実施義務対象は株式会社プローバホールディングスのみですが、2年前からは、当グループの全社員と定期健康診断対象のパート従業員を対象に実施することにしました。ストレスチェック業者に外部委託する形で実施しており、職業性ストレス簡易調査票の57項目を使用し、Webで回答する形式で実施しています。個人結果もすぐに見ることができます。」
「ストレスチェック実施者は産業医にお願いしており、結果も確認してもらっています。集団分析結果は、各事業会社の社長に報告しています。また、先述の安全衛生委員会の中で、年に1回、集団分析結果の特徴を産業医が説明し、委員会メンバーが各職場に持ち帰って共有した上で、必要に応じて職場環境改善活動をする、といった流れになっています。職場環境改善活動の内容としては、従業員同士の声かけを増やす工夫をしたり、店舗内の物品の整理整頓を行ったりしているようです。」
(P2M社)
「当社でも、社長が集団分析結果を確認しています。必要に応じて対応することにしています。」
(プローバホールディングス社・P2M社)
「高ストレス者に対する医師による面接指導は、産業医が行っています。ストレスチェック業者によると、高ストレス者は同業他社に比べるとだいぶ少ないようですが、それでもゼロではありません。従業員は、日頃の産業医面談と同じ感覚で面接指導も受けているようです。その後、医師による意見書をもらっていますが、プライベートな悩みによるものがほとんどで、会社側ですぐに対応が必要なものはこれまで特にはありませんでした。」
“両立支援コーディネーター”が中心となって、メンタルヘルス研修や社内相談窓口、治療と仕事の両立支援などを実施している。
最後に、メンタルヘルス研修や相談対応、治療と仕事の両立支援などについてお話を伺った。
社内の“両立支援コーディネーター”がメンタルヘルス研修を行っています
(プローバホールディングス社)
「メンタルヘルス研修は、“両立支援コーディネーター”でもある私たちが講師となって、様々な機会に実施しています。たとえば、セルフケアに関する研修や、相手の表情や様子に気づき声がけをする大切さを伝える研修などを実施しています。研修の中では、部下や同僚に気になる様子があれば、私たちの面談に早めにつなげてほしいということも伝えています。その他、外部の専門講師を招いて、管理職を対象としたラインケア研修を実施することもあります。」
社内外の相談窓口を設けており、社内はメール・チャット・電話と様々な方法で相談できるようにしています
(プローバホールディングス社)
「また、相談窓口を社内外に設けています。社内の相談窓口は、私たち“両立支援コーディネーター”が担当しています。相談は、メール・チャット・電話と様々な方法で相談できるようにしており、必要に応じて、事業所に出向いて直接面談対応をすることもあります。内容によって産業医につなげることもあります。メンタルヘルス不調などによる休業や職場復帰の際は、“両立支援コーディネーター”が窓口となって面談や調整をし、産業医面談を行う流れになっています。」
「社外の相談窓口は、外部の専門相談機関と契約して設置しています。電話予約をした上で、所定のカウンセリングルームにて産業カウンセラーが相談対応するというもので、社内の関係者には知られたくない場合などに利用されています。」
育児・介護・治療と仕事の両立お役立ちハンドブック
従業員がいつでも見て簡単に知ることができるように“育児・介護・治療と仕事の両立お役立ちハンドブック”を作成しました
(プローバホールディングス社)
「治療と仕事の両立支援にも力を入れています。以前、ある病気で治療をしながら働き続けたいといった従業員がおり、どのような支援をすればいいのか広島産業保健総合支援センターに何度も教えてもらったことがありました。その過程で、長期に休職する場合の社内手続きや、傷病手当金や高額療養費制度といったお金のこと、休職中の過ごし方、職場復帰のプロセスなどに関する情報をまとめた社内ハンドブックを作成しました。この中には、例えば、病気による欠勤が7日以上に及ぶときは、主治医による“病気休業診断書”の提出が必要だということや、“病気休業診断書”や“職場復帰診断書”の発行にかかる費用は会社が負担することなども記載しています。現在は、育児・介護での休業等に関する情報も加え、 “育児・介護・治療と仕事の両立お役立ちハンドブック”として、13ページにまとめたものを、社内のイントラネット上に掲載して誰でもいつでも見られるようにしています。また、各店舗や事業所にもハンドブックを置いています。」
(プローバホールディングス社・P2M社)
「このような活動によって、株式会社プローバホールディングスとして“健康経営優良法人(中小規模法人)”を2023年から3年連続で認定を受け、株式会社P2Mとしても“健康経営優良法人(中小規模法人)”を2024年から2年連続で認定を受けています。企業理念にCCES(地域社会、お客様、従業員の3つの満足の追及)を掲げ、未来へのさらなる成長に向けて、これからもパーパス『人々の生活を豊かにします』に向き合い続けていきます。」
【取材協力】P2M株式会社
(2026年2月掲載)
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